総まとめ「接地工事」の施工方法
接地工事とは
主に機器との事故や故障時に人体を感電から守る事を目的に施設されているものです。
漏電などの場合は、人体より電気抵抗の低い接地線を通じて大地に電気が流れていく事で感電をしない様になっています。
他には建物を雷から守る為の避雷設備、ノイズ等から機器を守る為のアースや事故などを検知する為に設けられている物もあります。
接地の種類と「その接地抵抗値」
接地工事にはA種(1種)・B種(2種)・C種(特3種)・D種(3種)の4種類があります。
また、接地工事種別に応じた接地抵抗値も定められています。
接地工事の種類 | |
A種接地工事 | 10Ω以下 |
B種接地工事 | 変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線短絡電流のアンペア数で150(変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設ける時は300、1秒以内に遮断する装置を設ける時は600)を除した値に等しいΩ数以下、ただし5Ω未満であることを要しない |
C種接地工事 | 10Ω以下(低圧電路において当該電路に電流動作形で定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設するときは500Ω以下 |
D種接地工事 | 100Ω以下(低圧電路において当該電路に電流動作形で定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設するときは500Ω以下 |
※B種の1線短絡電流は管轄電力会社にて確認をしましょう。
接地の施工基準
接地極の埋設深さ
接地極の上端は地表面から0.75m以上の深さにて埋設する。
人が触れるおそれのある金属体より1m以上離して埋設する。また、雷保護設備・避雷器の接地極、裸銅線より地中部分から2m以上離す必要があります。
接地線の保護
接地線は地表面下0.75mから地上2.5mまでの部分を硬質ビニル管で保護するか、これと同等以上の絶縁及び機械的強度のあるもので覆う。(厚みは2mm未満、CD管を除く)
接地すべき機器より0.6m以下の間及び地中横走り配線は除く事ができる。
A種接地工事の接地線は人が触れるおそれのない場合は、又はC種、D種接地工事の接地線は金属管にて保護する事ができる。(避雷針、避雷器用を除く)
メタルラス張りなどの造営材に取り付ける場合は合成樹脂管に収める。金属管を使用する場合は金属管と造営材の間に木板等をはさんで固定し造営材より絶縁する。
建物を利用する
建物の鉄骨部分が3Ω以下の場合は、引込線の中性点にB種接地工事の接地極として利用もできます。
また、建物の接地抵抗値が2Ω以下の場合で、非接地式高圧電路に施設する器具等に施すA種、B種、C種、D種接地に使用する事が出来ます。
接地線の太さ
接地線の太さは接地種別及び負荷容量等で基準があります。(sq=mm2)
以下を参考にして下さい。
A種接地工事
接地母線及び避雷器が14sq以上、その他の場合は5.5sq以上
B種接地工事
以下の表(金属製混触防止板は2.6mm以上)
※表の容量は変圧器1相分の容量を表す。
※「変圧器1相分の容量」とは次の値をいう。(単相3線式は200V級を適用する)
- 三相変圧器の場合は定格容量の1/3
- 単層変圧器同容量の△結線、Y結線の場合は、単相変圧器の1台分の定格容量
- 単相変圧器同容量のV結線の場合は、単相変圧器1台分んお定格容量、異容量のV結線の場合は、大きい容量の単相変圧器の定格容量
- 変圧器容量による接地線の太さが低圧側を保護する配線用遮断器等に基づいて選定される接地線の太さより細い場合は配線用遮断器等に基づいて選定した太さと同等にする
接地線の太さ | 100V級 | 200V級 | 400V級 |
5.5sq以上 | 5kVA以下 | 10kVA以下 | 20kVA以下 |
8sq以上 | 10kVA以下 | 20kVA以下 | 40kVA以下 |
14sq以上 | 20kVA以下 | 40kVA以下 | 75kVA以下 |
22sq以上 | 40kVA以下 | 75kVA以下 | 150kVA以下 |
38sq以上 | 60kVA以下 | 125kVA以下 | 250kVA以下 |
60sq以上 | 100kVA以下 | 200kVA以下 | 500kVA以下 |
100sq以上 | 175kVA以下 | 350kVA以下 | 700kVA以下 |
150sq以上 | 250kVA以下 | 500kVA以下 | 1000kVA以下 |
C種・D種接地工事
配線用遮断器の容量×0.052≦接地線の面積(sq)で計算できます。
例 「ブレーカ100A×0.052=5.2」の為5.5sq以上の接地線の太さが必要です。
C種・D種に限り電気的に接続されている金属管等は接地線として使用する事ができます。
※最小太さは1.6mm以上必要
配線用遮断器等の定格容量 | 接地線の太さ 銅 | 接地線の太さ アルミ | 移動電線 多心ケーブルのうち1心 |
30A以下 | 1.6mm以上 (2sq) | 2.6mm以上 | 2sq以上 |
60A以下 | 2.0mm以上 (3.5sq) | 〃 | 3.5sq以上 |
100A以下 | 2.6mm以上 (5.5sq) | 3.2mm以上 | 5.5sq以上 |
150A以下 | 8sq以上 | 14sq以上 | 8sq以上 |
200A以下 | 14sq以上 | 22sq以上 | 14sq以上 |
400A以下 | 22sq以上 | 38sq以上 | 22sq以上 |
600A以下 | 38sq以上 | 60sq以上 | 38sq以上 |
1000A以下 | 60sq以上 | 100sq以上 | 60sq以上 |
D種接地工事を省略する条件
乾燥した場所で4m以下の金属管、金属線ぴ、ケーブル保護装置の金属製部分、ケーブルラック等の部分
乾燥した場所及び簡易接触防止措置を施した場所で長さ8m以下の金属管、金属線ぴ、ケーブル保護装置の金属製部分、ケーブルラック等の部分
簡易接触防止措置とは屋内では1.8m以上・屋外では2m以上の場所で人が容易に触れない場所か、さく・へい等を設ける措置の事を言う。
接地工事の兼用(共用)
古い建物ではたまに見かけますが、内線規程では「同じ個所に2種類以上の接地工事を施す場合は、接地抵抗の低い方の接地工事で他の接地工事を兼用することができる」となっています。
その場合の接地線の太さは接地を必要とする個々のものより選定した太さで一番太いサイズを使用します。
また、最近では主幹ブレーカーに漏電遮断器を使わずに分岐に漏電遮断器を採用する施設も多くなってきました。
その際に、漏電遮断器と過電流遮断器の負荷を共有の接地線及び接地極で施設してはいけません。(ただし、2Ω以下の低抵抗の接地極を使用する場合は問題ありません。)
接地工事に使用する材料は
接地極
一番よく使うのが接地棒です。接地棒の中にはリード付の単独式と連結式の2種類があります。
A種、B種、C種接地工事や接地抵抗値の出にくい場所では連結式を使うと良いでしょう。
連結式は銅被覆鋼棒を連結して打ち込み最後の頭の方にリード線を打ち込んで連結します。接地棒が入らなくなった場合は、途中で切断して被せ仕様のリード線を使用しましょう。
切断した接地棒を再利用したい時や先端の補強には先端ソケットもあります。
銅板上の接地極もあります。主に避雷設備に使用します。
銅板は寝かす(横に)せずに縦に埋設しましょう。
なかなか接地抵抗値が下がらない又は接地棒が入っていかない様な時は接地抵抗低減剤の利用をおすすめします。
(株)ホクデンのパワーメッシュと低減剤を兼用する事で大きな低減効果を発揮する事ができます。
低減剤が導電性のコンクリートの為、機械的にも永続して強度を保ち接地抵抗値も安定して低減してくれます。
注意としてメーカーではパワーメッシュ10mに対して低減剤5袋となっていますが、1~2袋多めに用意した方が施工しやすいと思います。
施工方法https://www.youtube.com/embed/MBa5mQTG_OI
接地線
基本的には緑色の電線を使用し、定められた太さの電線を選定します。(緑/黄などもOK)
ケーブルに緑線が無い場合は心線の端末に緑テープや端子キャップなどで識別しましょう。
また、水切端子を使用し、より線からの地下水などの侵入を防ぐ事ができます。
接地極標示板、埋設シート
接地極を埋設した箇所には接地極標示板を施設するといいでしょう。
メンテナンス時の目安にもなりますし、掘削工事をする時に既設接地極を損傷させる心配も減ります。
合わせて埋設シートも使うといいです。
日動電気(株)カタログより (株)ホクデン ホームページより
接地抵抗測定
三極法
基本的な接地抵抗値の測定方法になります。
接地極より一直線に10m、20mとはなれた箇所に補助極をとり接地抵抗値を測定します。
補助極の接地抵抗値が大きいと測定に影響がでます。
できる限り湿気のある場所を選んだり水をかけたりします、また、コンクリートなど接地極を打込めない場所では補助接地極を寝かして濡れ雑巾などを補助接地極にかけて測定しましょう。
最近の製品では補助極の確認ランプでも確認する事ができます。
自分がいつも使用している測定器は複合型の測定器です。
業務で電気点検を行っていますので、絶縁抵抗測定125V~1000V対応で接地抵抗測定(3極・2極)を1台で行えるのでとても便利です。
2極法(簡易測定)
補助極を打つ必要がなく、中性点と大地間で接地抵抗値の測定を行うことができます。
接地極周辺がコンクリートなどで舗装されている時に補助極を打つ必要がないのでの測定の施工省略が出来る事と建物内だけで測定できるので雨などの天候に左右されません。
簡易接地測定のみに特化した測定器もあります。
共立電気計器 (KYORITSU) デジタル簡易接地抵抗計 Bluetooth Smart搭載 KEW 4300BT
自分がとても便利だと感じているのが次の
電圧・NLEの逆接続・簡易接地抵抗測定が同時に行えるコンセントテスタタイプです。
(TT接地のみ対応、TN接地の場合は別売りKEW 8341が必要)
共立電気計器 (KYORITSU) コンセントN-Eテスタ KEW 4505
あくまで簡易測定になります。
新築時などは3極法で測定して、メンテナンス時などは2極法(簡易測定)でもOKでしょう。
参考書籍まとめ
各参考書をまとめたものを下記に記述します。
また、同じような内容や製品(商品)自体に対する要求、又は曖昧な表現は割愛している項目もあります。
さいごに
とても長くなってしまいました。
見ずらいかもしれませんが、参考になれば幸いです。
ご意見・ご感想はコメントよりお願いします。
バイバイまたねー✋
コメント