仕事中のケガは労災保険で
労災保険とは
労働者が仕事中や通勤中に、負傷や疾病、死亡した場合に支給される保険給付のことです。
労災保険は日本における公的保険制度のひとつです。
労働者が対象となる災害分類は大きく2種類あり、業務災害、通勤災害と呼ばれています。
業務災害とは
事業主の支配・管理下で現に業務を行っている際に発生した災害を言います。
休憩時間・始業終業時間前後などに私的な行為を行っている際に発生した災害は業務災害になりません。ただし就業中であっても業務上として認められないケースもあります。
私的行為ではない
- トイレ
- 飲水等
- その他労働関係の本旨に照らし合理的と認められる行為を行っている場合など
私的行為になる
- いらずら(恣意的行為)などによる災害
- 故意に発生させた災害
- 個人的な理由で第三者より暴行をうけての被災
- 休憩中などに同僚とスポーツをして腰を痛めたなど(事業場の施設・設備の管理状況がもとで被災した場合を除く)
明らかに業務とは関係の無い行動をとらない限り就業中であれば業務災害は認められるます。
通勤災害とは
通勤災害とは、従業員が企業に出社・退社する際に交通事故をはじめとする事故で怪我をしてしまう事を言います。
車を使用する場合に限られていませんので、徒歩や自転車、「バスや電車」といった公共交通機関を利用して怪我をした場合も通勤災害になります。
通勤災害にいう「通勤」とは就業に関し、次に掲げる移動を合理的な経路および方法により行う事とされてます。
- 住居と就業の場所との間の往復
- 就業の場所から他の就業の場所への移動
- 住居と就業の場所との間に往復に先行し後続する住居間の移動
ちょっと寄り道・・・したらどうなる?
しかし、通勤中には「寄り道」をする事もあると思います。基本的には移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間の及びその後の移動は通勤とはならないと取扱われています。
したがって、コンビニなどの駐車場で事故にあった場合などは通勤災害になりません。
ただし、逸脱又は中断が日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱又は中断の間を除き通勤となる。
- 日用品の購入その他これに準ずる行為
- 職業能力開発のための受講
- 選挙権の行使その他これに準ずる行為
- 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
まとめると、日用品を購入するために帰宅途中に交差点を自宅とは反対側に曲がって買い物に行く途中に事故にあった場合は通勤災害には該当しません。
しかし、買い物を終えて通勤経路に復帰した場合には通勤の範囲に含まれ通勤災害になります。
間違えて健康保険を使ってしまった時
健康保険は、労働災害とは関係のない傷病に対して支給されるものです。
病院の窓口などでは怪我の状態や怪我をした時の状況を確認しているはずなので「仕事中の怪我」と伝える事で労災保険の適用を受けられるはずです。
しかし、間違えて健康保険を使用してしまうと一時的に治療費を自己負担する必要が出てきます。
労災保険への切替手続きは受診した病院が健康保険の保険者(全国健康保険協会又は健康保険組合)に対して健康保険扱いの手続きを完了しているかどうかで手続きが異なってきます。
まずは、受診した病院に労災事故だったのに間違えて健康保険を使ってしまった事を伝えて下さい。そのうえで、労災保険への切替が出来るか確認しましょう。
病院から切替が出来る場合
「労災保険の書類」と病院で支払った領収書を添付して病院に提出して下さい。病院からは、3割の自己負担分を返してもらえます。
- 業務災害の場合は第5号様式(療養補償給付たる療養の給付請求書)
- 通勤災害の場合は第16号の3様式(療養給付たる療養の給付請求書)
病院では切替が出来ない場合
病院では労災保険への切替が出来ない時は自己負担しなかった残りの治療費(7割分)を一旦支払った後に労働基準監督署に対して必要書類を提出して労災保険への切替手続きを行うことになります。
- 健康保険の保険者(全国健康保険協会又は健康保険組合)に労災事故であった旨を伝えます。
- 治療費の7割分の支払いを求める納付書類が送られてきますので、全額を一旦支払い、領収所と診療明細書(レセプト)をもらいます。
- 「療養の費用請求書」に病院の領収書(3割分)と健康保険の保険者に支払った領収書(7割分)と「労災保険の様式第7号又は第16号の5」、診療明細書を添付して所轄労働基準監督署に提出して下さい。
- 労災保険から療養の費用請求書に記載した指定口座へ治療に要した費用が振り込まれます。
労災保険の補償内容は?
1.休業補償給付
業務災害・通勤災害による病気やケガで仕事ができなくなり会社を4日以上休んだ場合、給料支払われなくなった日の4日目から支給されます。
①給付基礎日額(平均賃金 月給÷30)の60%
②特別支給金(平均賃金 月給÷30)の20%
2.療養補償給付
業務災害・通勤災害による病気やケガの治療費はその全額が労災保から支払われます。
①治療費の全額給付
3.傷病補償年金
療養をはじめてから1年6か月を経過して次の2つに該当する場合に支給される。
- 傷病が治癒(症状固定)していないこと
- 障害等級が1~3級に該当する障害が残ったこと
※治癒とは完全に治ると意味ではありません「症状が固定すること」を指します。病気や怪我の症状が安定して、これ以上治療を続けても効果が期待できなくなった状態を治癒といいます。
①保険給付(平均賃金 月給÷30)「障害の程度に応じて、給付基礎日額の245~313日分の年金」
②傷病特別支給金「障害の程度に応じて、100~114万円までの一時金」
③傷病特別年金(一年分のボーナス÷365)「障害の程度に応じて、算定基礎日額の245~313日分の年金」
4.障害補償年金
傷病が治癒した方で障害等級が1~7級に該当する障害が残ったひと
①保険給付(平均賃金 月給÷30)「障害の程度に応じて、給付基礎日額の131~313日分の年金」
②障害特別支給金「障害の程度に応じて、159~342万円までの一時金」
③障害特別年金(一年分のボーナス÷365)「障害の程度に応じて、算定基礎日額の131~313日分の年金」
5.障害補償一時金
傷病が治癒した方で障害等級が8~14級に該当する障害が残ったひと
①保険給付(平均賃金 月給÷30)「障害の程度に応じて、給付基礎日額の56~503日分」
②障害特別支給金「障害に応じて、8~65万円」
③障害特別一時金(一年分のボーナス÷365)「障害の程度に応じて、算定基礎日額の56~503日分」
6.遺族補償年金
労働者が業務災害・通勤災害で死亡した場合に支給されます。
受け取れるのは、労働者の死亡当時、労働者に生計を維持されていた配偶者・子・父母等の中で、優先順位の高い物です。
なお、受給額は遺族の人数によって異なります。
①保険給付(平均賃金 月給÷30)「障害の程度に応じて、給付基礎日額の153~245日分」
②障害特別支給金「一族の数にかかわらず、一律300万円」
③障害特別一時金(一年分のボーナス÷365)「障害の程度に応じて、算定基礎日額の153~245日分」
7.葬祭給付
業務災害・通勤災害でなくなった方の葬祭を行う場合に支給されます。
①保険給付(平均賃金 月給÷30)「315,000円+給付基礎日額の30日分を加えた額」
※その額が給付日額の60日分に満たない場合は給付基礎日額の60日分
さいごに
自分が受ける事ができる補償内容を知っている事でもしもの時にスピードある対応をとる事ができます。
また、不要な民間保険に入らないよう自分自身の足りない補償について知る事もできます。
他にも色々な社会保険の制度があります。みなさんも調べてみましょう。
ご意見・ご感想はコメントよりお願いします。
バイバイまたねー✋
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