総まとめ「金属管配線工事」の施工方法
金属管とは
金属配管には、厚鋼電線管(G管)、薄鋼電線管(C管)、ねじなし電線管(E管)の主に3種類があります。
そのほかには、厚鋼電線管(G管)の表面に合成樹脂被覆処理を施したポリエチレンライニング鋼管(GLT管・PE管)やステンレス管があります。
始めて金属管を見た時は、ねじ有とねじ無がごっちゃになりますが配管本体に「ねじが切ってあるか」で判断します。とくにカップリングなどでは「ねじなしカップリングの固定用ねじ」と勘違いをしやすいです。
使用できる場所
金属管配線(300V以下・300V超過)は屋内、屋外、点検できる、点検できない等を問わず全ての場所で使用できます。
金属管の選定ポイント
材質
屋外で使用する場合は、溶融亜鉛メッキを施した(G管)、合成樹脂被覆を施した(PE・GLT管)、ステンレス製(E管、C管、G管)があります。
他に丸一鋼管よりアルミニウム・亜鉛合金メッキ製(スーパーダイマーみたいなやつ?)があり、E管でも屋外で使用できるものもあります。一度、客先の指定品として海岸部のプラント設備に使用したこともあります。
溶融亜鉛メッキ製品を加工(切断・穴あけ)した場合はローバル等で加工面を補修しましょう。
合成樹脂被覆製品は、傷部分から錆が発生しやすいので補修を行いましょう。
ステンレス製はステンレス以外の付属品を使用すると電食を起こしますので他の金属製品と混ぜて施工しないように注意しましょう。
太さ
金属管の太さを選定していくためには、使用する電線・ケーブルサイズ、本数及び配管ルートの屈曲箇所、プルボックス等の中継場所などを総合的に考慮して決めていなければいけません。
最近の現場では、天井裏へのオール配管はしないと思いますので、幹線用や機械室等の二次側配線用の露出配管が多いと思います。
また、内線規程等に定めらている選定表は絶縁電線(IV)を使用する事を前提にかかれていますので、ケーブル工事の場合は無い断面積の占有率を参考にしましょう。
ケーブル工事に使用する金属管の太さの選定では下記を参考に選定します。
絶縁電線(IV)等の本数及びサイズからの選定は内線規程(下記表)を参考にして下さい。
金属管の施工
金属管の敷設
配管・プルボックス
1区間の屈曲数は4箇所以下とし、合計の曲げ角度の合計が270度を超えないようにする。
プルボックスや丸ジョイントボックスの取付間隔の目安としては3直角(計270度)及び配管亘長の30m(配管目安7~8本)おきに取付けた方が後々の配線作業も楽になります。
通路上などに配管を行う場合は高さ2.3m以上とし、通行の妨げにならないようにする、また、床上配管はできるだけ避けましょう。
床上配管や地上露出配管を行う場合は、歩廊架台などを利用してみましょう。配管の保護や通行者の安全性アップになります。
コンクリート埋設配管
コンクリート埋設配管を行う場合は、スラブ厚の1/4を超えるまたはE31を超えるものは避け、配管が多数並ぶ場合の配管の間隔は25mm以上あけコンクリート打設に影響が出ないようにしましょう。あまりに多いときは現場監督に一言断っておいた方が無難です。
ボックスや配管へのコンクリートの流入を防ぐ為に、テープやキャップを使用する。昔はよく、新聞紙やタオルなどを詰めている方もいましたね。
配管の支持
支持間隔
配管の支持は2m以下とする。
プルボックス等の端、接続点及び管端の近い箇所を固定する必要がありますので目安として300mm~500mm以下に支持を入れましょう。
(公共工事標準仕様書での、管端等の近い位置とは300mm以下となっています、監理指針ではプルボックス端から500mm以下)
支持材
配管の支持材は多数ありますが、基本的はベースサドル、ダクターを使用した方法ではないでしょうか。
施設内の分岐回路(細い配管)に使用する事が多いのがサドルベースになるかと思います。サドルベースの良い所は露出スイッチボックスや、丸ボックスに接続する時に配管をS曲げしなくても良い点です。ちょうど接続口の厚み分配管が壁面等より浮くので真っすぐ接続する事が可能です。
多数の配管が並ぶときは、ダクターとダクタークリップを使用した方が施工性や美観が良くなります。
人が触れるおそれのある(2m以下)支持材等には保護キャップを取付ると良いでしょう。
ダクターのエンドキャップとクリップ用のキャップ両方を取付ける事でより安全になります。屋外に使用する場合は対候性のあるグレーか黒色を使用しましょう。
ダクターの施工後にキャップを取付けたい場合は、背中部分が切りかいてある後施工用のキャップもあります。
取付強度をあげたい時は、接着材を使用するのも良いでしょう。使用しなくても外れた物を見たことはありませんが・・・
金属管の配線
配線の接続点は金属管内には設けてはならない、プルボックスやアウトレットボックス内にて行う。
垂直管路内に電線を施設する場合はゴムストッパなどを使用し下記の表の通り電線を支持する。
電線の太さ【㎟】 | 支持間隔【m】 |
38以下 | 30以下 |
100以下 | 25以下 |
150以下 | 20以下 |
250以下 | 15以下 |
250超過 | 12以下 |
金属管の付属材
金属管の接続材
カップリング
金属管相互を接続する場合は、カップリングを使用する。
ねじなし電線管ではねじなしカップリングを使用する。金属管の接続位置が決まってから締め付け用のネジを切った方がいいです。
防水タイプのカップリングやボックスコネクタを接続する時は、シリコンスプレー などを使用し摩擦抵抗を少なくして挿入すると施工が楽になります。
ねじなし防水カップリング(G管)
厚鋼電線管及び薄鋼電線管ではねじありカップリングを使用します。配管やノーマルを回して接続するため、どうしても配管を回す事ができない部分があります。その時は、ユニオンカップリングを使用するか、送りカップリング法により接続する。
ノーマル
配管を90°曲げる時に使用するものです。
薄鋼電線管やねじなし電線管ではパイプベンダ等で曲げることもできますが、配管が太いものや厚鋼電線管では作業が大変になるので、ノーマルを使用します。
カップリング同様にねじなし電線管では配管位置が決まってから固定用ネジを切った方がいいです。
また、厚鋼電線管・薄鋼電線管にノーマルを使用する場合はカップリングもセットで必要になります。
ボックスコネクタ
プルボックスや分電盤へ金属管を接続するときに使用します。
防水ボックスコネクタはカップリング同様シリコンスプレーをゴムパッキン部に使用すると施工が容易になります。
また、ボックスコネクタにはアース線を接続するためのビスが付いていますのでラジアスクランプが不要になります。
厚鋼電線管及び薄鋼電線管をボックスコネクタを使用せずにロックナットにてプルボックス等への接続する事も可能です。アース線の接続にラジアスクランプが必要になり施工では手間が増えます。しかし、防水ボックスコネクタより安価なので、材料費を抑えたい時に使用しましょう。
その他
防食テープ
配管を埋設する場合や、屋外での接続部などに防食テープを使用します。
防食テープの施工上の注意点は、1/2巻き(1/2重ねて二重になるように)をして、隙間なく巻き付けます。また、立上り・下がりではテープは下から巻き水が溜まらないように巻きます。
沿岸部などの重塩害地での施工の場合、ペトロラタム系の防食テープ(日東 日東 防食テープNo.59L 50mm×10m 59L50)を使用するといいでしょう。製品がベトベトなので合わせて、手袋を準備しておいた方がいいです。
金属管の接地
接地工事の省略
対地電圧が150V以下の場合は、乾燥した場所に施設するか、簡易接触防止を施した場所で、金属管の全長が8m以下の場合は接地工事を省略する事が出来ます。
対地電圧が150Vを超える場合は、乾燥した場所に4m以下の金属管を施設する場合は接地工事を省略する事が出来ます。
接地工事に使う部材
ラジアスクランプ
金属管への接地工事の際に、ねじなしボックスコネクタを使用しない場合に必要になります。
アース線を配管に押し付けるように巻き付けて使用します。
慣れないと巻き付けが弱くアース線が抜けてしまいますので、施工の手間や品質を確保する為にはボックスコネクタを使用しましょう。
接地線の太さ
金属管及びプルボックス用のボンディングに絶縁電線(IV等)を使用する場合は、機器用アースと同じように「配線用遮断器(A)×0.052=接地線サイズ(sq)」が適用されます
そのため、基本的にボンド線に使用する電線は裸銅線をしようする決まりになっています。
しかし、次の場合は絶縁電線であっても裸銅線と同等の扱いをすることができます。
配線用遮断器等の定格電流【A】 | ボンド線の太さ |
100以下 | 2.0mm以上 |
225以下 | 5.5sq以上 |
600以下 | 14sq以上 |
耐震設計
設備機器の設計用標準震度
耐震クラスS | 耐震クラスA | 耐震クラスB | |
上層階 屋上 塔屋 | 2.0 | 1.5 | 1.0 |
中間階 | 1.5 | 1.0 | 0.6 |
地階 1階 | 1.0 | 0.6 | 0.4 |
電線管の耐震支持の適用
設置場所 | 耐震クラスA・B | 耐震クラスS |
上層階 屋上 塔屋 | 電気配管の支持間隔 12m以内に1箇所A種を設ける | 電気配管の支持間隔 12m以内に1箇所S・A種を設ける |
中間階 | 電気配管の支持間隔 12m以内に1箇所A種又はB種を設ける | 電気配管の支持間隔 12m以内に1箇所A種を設ける |
地階 1階 | 〃 | 〃 |
電線管の耐震支持方法
- S・A種はアングル架台で支持する
- B種の場合は、全ねじボルト等で振れ止めをとる(複数本の場合は、ダクター等に配管を並べて、ダクターに振れ止めをとる)
あると便利な工具
バンドソー
電線管工事には必須アイテムと言ってもいいくらいの工具です。高速カッターとは違い火花もでずに作業音も小さく施工場所の制限が少なくすみます。
ラチェット式カッター
バンドソーやレシプロソーなどの工具が入らないような場所で役に立ちます。
刃が配管の周りを回転しながら切断する工具になります。
ローバル
厚鋼電線管(溶融亜鉛メッキ製)の切断面の補修に使用します。スプレーの他にも缶製品もあります。
参考書まとめ
各参考書をまとめたものを下記に記述します。
また、同じような内容や製品自体に対する要求、または曖昧な表現は割愛している項目もあります。
※ 例 堅固に固定する、ケーブルはもつれない様にする、等
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