感電災害を起こさない為の対処法・安全管理
必須工具
いつも思いますが電気工事とは「なんて沢山の工具が必要になる仕事なんだ・・・」
停電作業にあたっての必要工具をまとめてみました。
- 高圧絶縁手袋
- 高圧絶縁長靴
- 高圧検電器
- 短絡接地線
- 検相器
- テスター
- 仮設照明
- 高圧絶縁シート
- 操作禁止テープ
高圧絶縁手袋+長靴はもしもの感電から人命を守る為に必要になります。停電後に短絡接地線を使用して高圧コンデンサ等の放電を行う場合の保護に使用します。
高圧検電器は電路の停電の確認を行う為に使用します。電圧計などで停電を確認したうえで、検電器で再度停電の確認を行いましょう。高圧感電事故はいつも「停電していると思った!」と勘違いや思い込みで起こります電気は目で見えないので、こまめな検電を行いましょう。
短絡接地線は必ず一次側に取付ましょう。高圧受電系統が複数ある場合は系統の数だけ準備が必要になります。
検相器やテスターは停電前や復電後に電路に異常がないかを確認するために使用します。検相器は工事作業があった場合は停電前に現状の回転方向を確認し復電後に回転方向に間違いがないか確認しましょう。
停電作業には仮設照明が必要ですね。停電して真っ暗になってから照明を探し始めても遅いので事前に準備するようにしましょう。
複数系統から受電している時は、隣のバンクが受電している場合があります、不意に接触しないように高圧絶縁シートで保護及び表示もかねて取付けておきましょう。
操作禁止テープは操作者以外が不要に機器の操作を行っては危険な場合に使用します。操作禁止テープで物理的に視覚的に注意を促しましょう。
作業手順書
停電作業を行う場合に必要なのが作業手順書になります。
特に電気室や操作する設備が多い場合には必須です。ひとつの誤操作により不要な停電や事故に繋がります。
作業手順書には作業(操作)開始時間を記入し作業員全員が決められた時間内に作業を終えるようにしましょう。時間外に作業を行ったり、前倒しで予定外の操作を行うと事故に繋がります。
作業内容は当然必要になりますが、備考として注意点を記入しておくと良いでしょう。ベテランの方が作業する時は思い込み作業を防ぐと同時に不慣れな作業員へのアドバイスにもなります。(例-短絡接地線は接地側より取付けるなど)
操作者や作業員を記入しておくことで、誰の責任範囲かを明確にすることができます。また、予定外操作や誤操作を防ぐ事にもなります。
作業手順記入例
作業手順書に必要な項目の記入例を書きます。(作業内容や順番はてきとうです)
電気室が複数ある場合は時系列にあわせて項目を増やしていきましょう。今回はスペースの関係で注意事項が1項目しかありませんが電気室ごとに注意事項と操作者を記入しましょう。
作業時間 | 作業内容(電気室A) | 作業内容(電気室B) | 注意事項 | 操作者 |
09:00 | 仮設発電機搬入 | □発電機の試運転の実施 ☑仮設盤で電圧チェック | 責任者A | |
09:30 | 事前確認 | 事前確認 | ☑検相確認 (正相・逆相) □低圧ブレーカ切り表示 | 責任者A 責任者B |
10:00 | 停電前ミーティング | □停電箇所の説明 | 全員 | |
10:30 | 気中開閉器操作 | □客先に連絡 | 主任技術者A | |
10:45 | 短絡接地線取付 | □アース線側から □VCB1次側 | 主任技術者B | |
11:00 | 作業開始連絡 | □電気室Bへ連絡 | 責任者A | |
11:05 | 点検作業開始 | 工事作業開始 | ||
16:00 | 工事完了連絡 | □電気室Aへ連絡 | 責任者B | |
16:30 | 短絡接地線取外し | □接地表示札返納 | 主任技術者B | |
17:00 | 復電 |
イメージはこんな感じです。注意事項にチェックボックスを入れて置くことで作業忘れも防止できます。作業をして終わりではなく「こんな項目もあったら次から作業(操作)しやすい」があれば追記していきましょう。たとえば、電気室の鍵の貸し出し場所やVCBの操作棒の収納位置など現場各々のルールなど
定期的な点検の場合は、追記していく事でより安全に、より的確な作業計画になっていきます。また、引継ぎや急な代理作業の時にもスムーズに作業を行るはずです。
感電事故を起こさない為の安全管理
なんと言っても安全作業の一番重要な事は現場ルールを順守することです。
しかし、事故はルール以外の動作を取った時に起こります。現場責任者としてルール以外の動作を取らせないようにする、又はルール以外の動作を取った場合でも極力安全になるように管理する事が必要だと思います。
充電部を露出しなければ感電事故は起こりません。そこで、活線部のキュービクルの扉などは施錠し、責任者以外が鍵を所持しない方法です。事前ミーティング等で所持している鍵を回収(回収できなくても伝えておくことで勝手な扉の開錠防止につながる)することで作業手順外の扉の開錠は行えません。
もし、作業があり扉の開閉が必要な場合は責任者立ち合いの下で、作業を行い作業後に責任者が施錠を行います。
また、トラロープ等でハンドル部分を固定して物理的に扉を開閉出来ないようにすることもいいでしょう。
責任者が充電箇所の扉を閉め忘れた時の対策として、作業員は作業前に検電を必ず行うというルールを作り万が一に備えましょう。
それでも、扉が開いていて、作業禁止のテープが張ってあっても気づかず、検電するのも忘れた時の最終手段で活線近接アラームを装着している事で感電から防ぐ事が出来るかもしれません。これだけ、しても事故はゼロにはならないと思いますが確率を下げる事が出来ます。
あると便利な道具
高・低圧検電器(検電器)
停電作業を行う上で必需品となる検電器です。必ず1本は準備しておきましょう。
伸縮式のため高圧充電部より60cm以上離れて検電する事が可能です。また、大きな設備では高圧部分は停電しますが、低圧の機器操作電源のみ活きている施設もありますので低圧検電器も兼ねたタイプをおすすめします。
バリアリール
立ち入り禁止や扉の開閉禁止などの表示に役に立つのがマグネット付きのバリアリールです。
マグネット付きなのでキュービクル盤面に簡単に取り付ける事ができ、自動巻き機能もあるので取り出し収納が容易です。
キュービクルのハンドル部分に取付るなど工夫して使用するといいでしょう。
リストアラーム(活線近接警報器)
活線箇所に近づくことでアラームがなります。カタログスペックでは活線部に近接60cmでアラームと光で活線部分を知らせてくれます。
停電バンクと活線バンクが混在している施設で役に立ちます。
注意として、近づくだけで音がなるので「音に慣れてしまう事があります」音がなった時点で検電器を使用して作業前に充電部と停電部を確認して作業しましょう。リストアラームを検電器として使用しないで下さい。
バインダー(裏面マグネット付き)
電気の工具とは少し違いますが、作業手順や試験成績表などを挟んで盤面に取付る事が出来るので作業効率が上がります。作り方は簡単で、バインダー(クリップボード)の裏面にマグネットテープを上下2本張り付けてお終いです。
書類の数分を準備するといいでしょう。
ファイルに閉じておくと書類を探す手間が発生し「イライラ」したことはないですか?そんな時は、一度使ってみてはいかがでしょうか?
さいごに
高圧の停電作業で一番怖いことは感電災害です。
感電災害の一番の原因は思い込みによる作業です。
以前に高圧感電事故がありました。幸い作業員は大事には至りませんでしたので、ヒヤリングを行ったところ、作業員本人は「停電していると思った」と言っていました。
本来は作業範囲外の場所でしたが、作業途中に被災者以外の人がキュービクルの扉を開けたままにしていた為に被災者は作業範囲と勘違いしてしまい事故が起こりました。
あなたも責任者であれば作業員の行動に気を配り、作業員の方は作業前には「本当に停電している?」のか再確認して作業しましょう。
ご意見・ご感想はコメントよりお願いします。
バイバイまたねー✋
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