あと施工アンカー「金属系アンカー」編
あと施工アンカーとは
日本建設あと施工アンカー協会から引用
アンカーとは、母材に取付け物を取り付けるために工夫したもの、あるいは既存の躯体コンクリート(母材)と、新たに設ける構造部材との接合面で、力が円滑に伝達されるように工夫されたものです。
アンカーには、先付アンカーと後付アンカーがあり、母材コンクリートを打ち込む前に所定の位置に設置しておくアンカーが「先付アンカー」であり、母材コンクリートの硬化後、所定の位置に穿孔などを行い固着させるアンカーを「後付アンカー」と言います。
即ち、「あと施工アンカー」は、穿孔した母材の孔に固着機能によって固定されるアンカーで、埋め込み方法などによって、「金属系アンカー」「接着系アンカー」「その他のアンカー」に分類されます。
どや!!
難しい事が書いてありますが簡単に言うと既設のコンクリートに後から穴を開けて物を固定する為の部材の事です。
今回は金属系アンカーについて話していきたいと思います。
金属拡張アンカーとその他の金属アンカーに分かれます。金属拡張アンカーは、母材に予め穿孔した孔の中でその拡張部が開き、孔壁に機械的に固着するものをいいます。
金属系アンカーの長所と短所
長所
- 施工が容易
- 施工後すぐに強度がでる
- 保管管理が容易
短所
- 振動に弱い
- 施工時に母材にストレスがかかる
極端に言うと狭い穴の中で金属を無理やり拡張させて固定するため、コンクリートの母材などに無理な力がかかります。母材の端の方で施工すると母材が割れてしまったりします。また、部分的な固定のため振動に弱いのも特徴です。
接着系アンカーと違い施工後すぐに強度が出るため施工のスピードが速いです。
錆が出ないように保管するだけなので管理が容易です。
金属系アンカーの種類
日本建設あと施工協会さんホームページより下記図ですが、とても沢山の種類があります。
私も数種類しか使用した事はありません。
これだけ種類があるとどれを使えばいいのか悩んでしまします・・・
芯棒打ち込み式
一番このタイプがメジャーかと思います。
使用工具もドリルとハンマーのみで、施工完了の確認は芯棒の打ち込み状況を目視で行うので初心者の方でも施工しやすいと思います。
反発力がコンクリート表面(ナット部)にかかるため削孔深さが少し深くなっても施工出来るので扱いやすいです。
芯棒を打ち込む時に斜めに打ち込まないように注意して下さい。
心配な方は専用のハンドホルダーを使用してみてはどうでしょうか?
内部コーン打ち込み式
雌ねじタイプのアンカーになります。
前述の「芯棒打ち込み式」はネジ部分が短いのと違い長いボルトを使用する時に使います。
反発力が削孔穴の底にかかる為所定の深さで行う必要があります。深く開けてしますとアンカーが沈んでしまいます。
心配な方は「つば付きタイプ」を使用する事でアンカーの沈みこみを防止する事が出来ます。
このタイプは専用の打ち込み棒が必要になります。
本体打ち込み式
「内部コーン打ち込み式」と同じ雌ねじタイプのアンカーになります。
違いは本体を沈み込ませて拡張部を開いて使用します。
施工完了の確認方法がハンマー打ち込み時の打感で判断する為、サイズが小さい物は判断できるのですが、サイズが大きい(M16)あたりから経験の少ない方は施工が難しいと思います。
打ち込み不足では強度を確保できないので、サイズの大きい(M16)以降は初心者の方にはおすすめしません。
何度か練習を行ってから施工をしましょう。
このタイプは専用の打ち込み棒が必要になります。
スリーブ打ち込み式
「本体打ち込み式」と同じように本体を沈み込ませる事で拡張部を開いて固定します。
違いはボルト部とテーパ部が繋がっているので引張力が働くと拡張部も開く「追従拡張機能」があり安定した強度を確保する事が出来ます。
施工完了の確認方法はハンマーでの打ち込み時の打感で判断ですが、サイズが小さい物は問題ありませんがサイズが大きい物は専用工具を使用しましょう。
また、「追従拡張機能」もありますので強度の均一化を図れます。
反発力を削孔穴の底辺で受ける為に深さには注意が必要です。
深く開けすぎるとボルト部まで沈み込んでしまいます。
このタイプは専用打ち込み棒が必要になります。
コーンナット式
ナットを締め付ける事によって拡張部が開き固定されます。
トルク値で管理が出来るので品質の均一化が図れます。
取付機材の上から施工が出来るので取付位置がズレません。
削孔穴に入れる時は少しきついので軽くハンマーで叩いていれます。
取付機材の厚みも考慮して有効穴深さを選定しましょう。
施工完了の確認が他のアンカーの様にハンマーの打感で判断するのではなくトルク値の為に施工する人によって品質が変わるのを防ぐ事ができます。
このタイプはトルク管理が必要の為に専用工具が必要です。
テーパーボルト式
ナットを締め付ける事によって内部ボルトが引っ張られて拡張部が開き固定されます。
トルク値で管理が出来るので品質の均一化が図れます。
取付機材の上から施工が出来るので取付位置がズレません。
施工完了の確認が他のアンカーの様にハンマーの打感で判断するのではなくトルク値の為に施工する人によって品質が変わるのを防ぐ事ができます。
拡張部のかかりを手で感じながら作業しましょう。電動工具を使用すると穴がダメになってしまう事があります。
このタイプはトルク管理が必要の為に専用工具が必要です。
ダブルコーン式
トルク値で施工管理が出来るので品質の均一化が図れます。
取付機材の上から施工が出来るので取付位置のズレが小さくなります。
1本あたりの最大荷重が他の物より大きい。
施工完了の確認が他のアンカーの様にハンマーの打感で判断するのではなくトルク値の為に施工する人によって品質が変わるのを防ぐ事ができます。
取付機材の厚さによってアンカー埋込深さが変わります。機材厚みと有効埋込深さの確認が必要になります。
このタイプはトルク管理が必要の為に専用工具が必要です。
ウェッジ式
取付機材の上から施工が出来るので取付位置のズレが小さくなります。
引張力が働くと拡張部も開く「追従拡張機能」があり安定した強度を確保する事が出来ます。
施工管理の目安となるラインマークも入っています。
削孔穴への挿入がキツイのでハンマーで叩いて入れます。
規定トルク値で締め付け後にラインマークが上部に出ていると埋込不足となりと施工不良の確認も行えます。
このタイプはトルク管理が必要の為に専用工具が必要です。
アンカー強度
芯棒拡張式
内部コーン打ち込み式
本体打ち込み式
スリーブ打ち込み式
コーンナット式
テーパーボルト式
ダブルコーン式
ウェッジ式
商品ご紹介
今回アンカーを調べていると「アスファルト用アンカー」なる物を発見しました。
今回参考にさせていただいたサンコーテクノさんのホームページにありましたので興味ある方は一度見てみてはいかがでしょうか?(ホームページ下の方にPDFデータあり)
さいごに
やはり施工が簡単なのは「芯棒打ち込み式」です。施工完了の確認も目視で行え使用工具も特殊ではありません。DIYで使用する時はこれ一択ですね!
どうしてもアンカーサイズが大きくなってくるとハンマーの打感では初心者の方は判断が出来ないと思います。何度か練習を行ってから施工をするかトルク管理タイプの使用をおすすめします。
また、業務として「あと施工アンカー」を使用される方は日本建設あと施工アンカー協会の認定資格を取ることを推奨します。官庁物件などでは有資格者か確認される場合もあります。
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バイバイまたねー✋
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